01.23.05:42
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01.25.02:14
こども芸術大学 制作文 / 休日の澪 澪の中のりんごちゃん
休日の澪
<澪の中のりんごちゃん>
朝、起き掛けに澪が突然うなされ、泣き出しました。
央飛人がおなかにできたときの、澪の夜鳴きを思い出す激しさでした。
いろんな感情がたまっているのでしょう。
そんなときは、抱きしめて「よし。よし。」と声をかけて澪の感覚がおさまるのを、ずっと抱っこしたり、さすったりして時間をかけて待つしかありませんでした。
そのときは、ふっと思い立って、澪に聞いてみました。
「今、澪のどの辺にどんな感じがするの?」
そうすると、澪が泣くのを止めて、自分の感覚を内観しながら答えてくれました。
…この辺に…
…そうその辺にどんな感じ?とげとげしてる?ごあごあしてる?つるつる?どんな感じ?…
…つるつるしてる。…
…そう。それは色がついてる?どんな色?…
…赤い色。……
…へーそう。赤い色なんや。名前はある?
…うん。りんごちゃん。…
もうそう答えている澪は落ち着いて、にこにこしていました。
…りんごちゃんは何か言ってる?…悲しいって。…
…そう。どうして欲しいって言ってる?
…ぎゅーっと抱っこしてって。…そう。ぎゅー。こんな感じ?
ぎゅーっと抱っこすると、澪はすり抜けて笑って走ってゆきました。
そのとき試してみようと思ったのは、ある感情や感覚があるとき、その感覚を内観して具体的にイメージして見つめてみるという、心理学のフォーカシングという技法でした。
いままで、苦労していたことがうそのように感じられた時間でした。
フォーカシング(Focusing)は、静かに、心に感じられた「実感」に触れ、そこから意味を見いだす方法です。シカゴ大学教授ユージン・ジェンドリン(Eugene Gendlin)の心理療法の研究によって生み出されたこの方法は、心理療法や自己理解、夢理解の方法として米国をはじめ、ヨーロッパほぼ全域に普及しています。
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