01.23.06:00
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04.17.18:36
エネルギー自給、輸出村
http://d.hatena.ne.jp/masashi50/20110505/1304582585
幸せに生きる環境学(フライブルクにて)より 転載
エネルギー自給、輸出村
今日は前回のシェーナウに引き続き再生可能エネルギーに関するドイツ市民の活動の紹介をしたいと思います。
フライブルクの北約25kmに位置する人口約4200人の村フライアムト(Gemeinde Freiamt)は、1997以来、再生可能エネルギー源を使ったエネルギー供給への道を歩き始め、現在村のエネルギーを自給自足しているばかりか余剰発電した電力を村外に輸出しています。2008年にはドイツソーラー賞を受賞しています。
フライアムトでは毎年約1400万kWhの電力を再生可能エネルギー源によって発電しています。
約200万kWhがこの村の需要以上に供給されていることになります。
約200個の太陽光発電施設は約2,600kWpの発電能力があり、太陽光発電施設はさらに増え続けています。
4つの風力発電機はそれぞれ出力1,800kWがあります。
この風力発電機の建設は1997年に設立された「フライアムトで風力発電機を促進する会 (Verein zur Förderung der Windenergie in Freiamt)」によって推進されていきます。
この会は風向、風速を測る塔建て調査しました。
この調査の結果は風力発電機設置にとても好ましいものだったので、1999年秋に2基の風力発電機の建設を申請しました。
2000年にこのプロジェクト実現のためにFreiamt Windmühlen GmbH & Co. Beteiligungs KGという合資会社を設立し、約150人の共同出資者が参加しこの風力発電機2基が建設されました。
その後2基の風力発電機が建てられ現在稼働中のものは4基になります。
フライアムトには水力発電機もあります。
4つの小規模水力発電施設は2つの製材所と1つの水車で製粉するパン屋さんで使われており(製粉時はうすの動力に、製粉で使用しない時に発電タービンに接続)、過剰発電分は売電されます。
さらに2つのビオガス暖房、発電施設があります。
2002年に340kWの発電出力を持った(熱出力540kWで)一基目が、2007年に190kWの発電出力のビオガスコージェネレーション施設が建てられました。
この一期目は以前酪農家であったInge ReinboldさんがBSEと豚肉価格の下落によって農業経営が厳しくなり、電気技師であたった息子の勧めによって設置しました。
Inge Reinboldさんは言います。「以前とそんなに変わっていないんですよ。
以前牛たちに与えていた農場のトウモロコシ、穀物、牧草を今ではバクテリアに与えているんです。」この2つのビオガス施設は、発電すると同時に発電時に出る熱も温水として家庭に送られ、使用されます。
700mの配温水管が敷かれ、それを通して約80℃の温水が家庭では70℃で得られるようになっています。
このビオガス発電の原料はトウモロコシや牧草、家畜のふん尿なのですが、これらを近くの農家からもらい、その代わりに、ガス発生後にできる堆肥を農家に渡します。
農家は家畜のふん尿の処理が出来さらに堆肥をもらえ、発電施設では原料を譲り受けることが出来るのです。たくさんの木質チップを使った暖房設備がありますが、この原料である木材はフライアムトの森から得られる間伐材などを利用しています。
酪農家の所有する森などから得られる“廃材”を木質チップにし自分の家の暖房に使い、余ったチップは売られます。
面白い熱の利用方法もあります。フライアムトは酪農業が盛んです。酪農家は牛乳を出荷する時に約32℃から4℃まで冷やしますが、この“排熱”を捨ててしまわず利用しようというものです。
熱交換器という装置を使い(60℃の)温水を得ることが出来るのです。
フライアムトのようなエネルギー自給、輸出村の成功は再生可能エネルギーが環境にやさしいだけでなく、市民に実益をもたらすことを示しています。
市民は他のエネルギー源に頼ることなく自分の家の屋根に降り注ぐ太陽エネルギーや山にふく風を利用して自分たちの生活に必要なエネルギー(電力や熱)を作ることが出来るのです。
価格の変動が激しい石油などからの影響が少ないだけでなく、このような燃料を遠いところから買う必要が無くなります。
さらにこれらの再生可能エネルギー電力は高く売ることが出来るので(ドイツでは既に全量固定価格買い取り制度があり発電した電力を売り、それより安値の電力を買っています。日本では2012年から実施の方向)設備投資など諸経費を返済すれば利益も上がるわけです。
このような魅力が大きかったことが市民の運動を後押しし、環境意識と相まって成功したのだと思います。
日本でもこの全量買い取り制度が決まれば、現在の脱原発の流れと相まって大きな市民運動の流れになるのではないでしょうか?
前回紹介したシェーナウの電力供給会社EWSの市民活動と共に日本の未来の明るいエネルギー政策のヒントとなればと思っています。
幸せに生きる環境学(フライブルクにて)より 転載
エネルギー自給、輸出村
今日は前回のシェーナウに引き続き再生可能エネルギーに関するドイツ市民の活動の紹介をしたいと思います。
フライブルクの北約25kmに位置する人口約4200人の村フライアムト(Gemeinde Freiamt)は、1997以来、再生可能エネルギー源を使ったエネルギー供給への道を歩き始め、現在村のエネルギーを自給自足しているばかりか余剰発電した電力を村外に輸出しています。2008年にはドイツソーラー賞を受賞しています。
フライアムトでは毎年約1400万kWhの電力を再生可能エネルギー源によって発電しています。
約200万kWhがこの村の需要以上に供給されていることになります。
約200個の太陽光発電施設は約2,600kWpの発電能力があり、太陽光発電施設はさらに増え続けています。
4つの風力発電機はそれぞれ出力1,800kWがあります。
この風力発電機の建設は1997年に設立された「フライアムトで風力発電機を促進する会 (Verein zur Förderung der Windenergie in Freiamt)」によって推進されていきます。
この会は風向、風速を測る塔建て調査しました。
この調査の結果は風力発電機設置にとても好ましいものだったので、1999年秋に2基の風力発電機の建設を申請しました。
2000年にこのプロジェクト実現のためにFreiamt Windmühlen GmbH & Co. Beteiligungs KGという合資会社を設立し、約150人の共同出資者が参加しこの風力発電機2基が建設されました。
その後2基の風力発電機が建てられ現在稼働中のものは4基になります。
フライアムトには水力発電機もあります。
4つの小規模水力発電施設は2つの製材所と1つの水車で製粉するパン屋さんで使われており(製粉時はうすの動力に、製粉で使用しない時に発電タービンに接続)、過剰発電分は売電されます。
さらに2つのビオガス暖房、発電施設があります。
2002年に340kWの発電出力を持った(熱出力540kWで)一基目が、2007年に190kWの発電出力のビオガスコージェネレーション施設が建てられました。
この一期目は以前酪農家であったInge ReinboldさんがBSEと豚肉価格の下落によって農業経営が厳しくなり、電気技師であたった息子の勧めによって設置しました。
Inge Reinboldさんは言います。「以前とそんなに変わっていないんですよ。
以前牛たちに与えていた農場のトウモロコシ、穀物、牧草を今ではバクテリアに与えているんです。」この2つのビオガス施設は、発電すると同時に発電時に出る熱も温水として家庭に送られ、使用されます。
700mの配温水管が敷かれ、それを通して約80℃の温水が家庭では70℃で得られるようになっています。
このビオガス発電の原料はトウモロコシや牧草、家畜のふん尿なのですが、これらを近くの農家からもらい、その代わりに、ガス発生後にできる堆肥を農家に渡します。
農家は家畜のふん尿の処理が出来さらに堆肥をもらえ、発電施設では原料を譲り受けることが出来るのです。たくさんの木質チップを使った暖房設備がありますが、この原料である木材はフライアムトの森から得られる間伐材などを利用しています。
酪農家の所有する森などから得られる“廃材”を木質チップにし自分の家の暖房に使い、余ったチップは売られます。
面白い熱の利用方法もあります。フライアムトは酪農業が盛んです。酪農家は牛乳を出荷する時に約32℃から4℃まで冷やしますが、この“排熱”を捨ててしまわず利用しようというものです。
熱交換器という装置を使い(60℃の)温水を得ることが出来るのです。
フライアムトのようなエネルギー自給、輸出村の成功は再生可能エネルギーが環境にやさしいだけでなく、市民に実益をもたらすことを示しています。
市民は他のエネルギー源に頼ることなく自分の家の屋根に降り注ぐ太陽エネルギーや山にふく風を利用して自分たちの生活に必要なエネルギー(電力や熱)を作ることが出来るのです。
価格の変動が激しい石油などからの影響が少ないだけでなく、このような燃料を遠いところから買う必要が無くなります。
さらにこれらの再生可能エネルギー電力は高く売ることが出来るので(ドイツでは既に全量固定価格買い取り制度があり発電した電力を売り、それより安値の電力を買っています。日本では2012年から実施の方向)設備投資など諸経費を返済すれば利益も上がるわけです。
このような魅力が大きかったことが市民の運動を後押しし、環境意識と相まって成功したのだと思います。
日本でもこの全量買い取り制度が決まれば、現在の脱原発の流れと相まって大きな市民運動の流れになるのではないでしょうか?
前回紹介したシェーナウの電力供給会社EWSの市民活動と共に日本の未来の明るいエネルギー政策のヒントとなればと思っています。
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